私のブックレビューPage.1/お気に入りの絵本を教えてください

2018.06.07 Thursday

0

     

    会場となった「自遊空間ゼロ」のセミナースペースです。

     

     2018年6月6日、自遊空間ゼロで、かねがねやってみたいと思っていた「読書会」が開かれました。

     その名も「私のブックレビュー Page 1」。第一回目ということでPage 1なのですが、当然Page 2、Page 3と続いていくのですが、Page 1のテーマは「絵本」。そこでサブタイトルは「お気に入りの絵本を教えてください」となりました。

     開催に当たっては、専修学校で国語を教えておられる「井上玲奈」さん、香芝市で子育て支援のNPO法人「T-seed」を運営されている「多田みさ」さんにお力添えいただき開催できる運びとなりました。

     当日はあいにくの雨でしたが、絵本作家の「杉浦つかさ」さんをはじめ、7人の方がそれぞれ「これぞ」と思う絵本を持って集まり、すわ「絵本版ビブリオバトル」開戦かと思いきや、「バトル」でなく、それぞれが時間を決めて持ち寄った絵本の良さを紹介する、つまり「チャンプ本」を選出しない(ゲーム感覚を廃することで)、ある意味、充実した本来の読書会が開かれたようにも感じます。

     以下に持ち寄られた本を紹介いたしますが、実は録画がうまくいかず、記憶に頼って紹介いたしますので、聞き違い、記憶違いがあると思いますがご容赦ください。

    (また絵本の紹介にあたっては、絵本作家の杉浦つかささんや主催者の方々は別として、発表者のお名前は基本的に伏せさせていただきます。)

     

    どちらも「内田倫太郎」さんの作品。暗い色調の「まねっこでいいから」と、ナンセンス絵本「たまたまタヌキ」

     

     まずは進行役の「井上玲菜」さんのおすすめ本です。

     内田倫太郎さんといえば、「たまたまタヌキ」のようなナンセンスな絵本が多いのですが、「まねっこでいいから」は異色な作品で暗い色調でおおわれています。

     幼児虐待を受け、母親の愛情を知らずに育った女性。彼女は母親になっても、自分が抱っこされたこともないから、我が子をどう抱っこしてよいか分からない。でも、子どもから「まねっこでいいからだっこして」と、我が子に言われておそるおそる抱っこしていく――。

     

     

     

     絵本作家「杉浦つかさ」さんのおすすめ本は「おやすみ、ぼく」。

     

     「おやすみ、ぼくのあしさん。

     きょうも うーんと はしったね。」

     

     絵本のあらましを朗読される杉浦さん。

     そのあと、ご自身がスランプになって本が描けなくなったときの体験を「がかフランソワさん」として発表された経緯を話されました。

     自分の中にある暗い思い、これを見つめて変えていったとき、まわりの世界も明るく変わっていった――。

     

     

     

     

     「わたしがあかちゃんだったとき」

     これは、共同主催者の「ただみさ」さんのおすすめ。

     

     「それ なあに?」

     「あかちゃんのおようふくよ」

     「あたしが あかちゃんだったときの?」

     「そうよ。こんなに ちっちゃかったのよ。」

     

     多田さんは、朗読することで、この絵本のすばらしさを伝えてくれました。

     

     

    「ぼちぼちいこか」

     この絵本を紹介されたお母さんは、子どもたちが大好きな絵本だからと言います。何度もせがまれて読むそうですが、そのたびに、いっつも子どもたちは大笑い。楽しくてたまらない、そんな様子がお母さんの語り口から想像されてしまいます。参加者の一人は「お母さんのやさしさが、子どもたちに伝わるのでは――」、そんな感想をもらしていました。

     「絵本」も「お母さん」も素敵だと感じました。

     

     

     紹介者の説明によると、二作ともに、作者は台湾の方だと言います。

     そのうち「地下鉄」は、盲目の少女が、地下鉄に乗って「自分探し」の旅に出るお話しだと言います。

     紹介者によると、主人公は「出口を見つけられていない」と一言。

     この一言が気になり、どんな結末なのか、ぜひ読んでみたいと思いました。

     ※後日談ですが、この「地下鉄」は中国で映画化されていました。

     トニー・レオン主演で「サウンド・オブ・カラー/地下鉄の恋」というタイトルで公開されたと言います。

     

     

     少女時代、宮本武蔵に入れあげたというお母さん。今では素敵で穏やかで「宮本武蔵」とのつながりが、まるで想像できないのですが――。

     そのお母さんが選んだ一冊が「てん」。読む度に涙ぐんでしまうと言います。

     お話しは、お絵かき大嫌いな少女の話。

     何も描けないままの真っ白な紙。それを見た先生は

     「ふぶきのなかのほっきょくぐまね」「なにかしるしをつけてみて」。

     少女は苦しまぎれに、白い紙に「てん」をうち「これでどう――?」

     次の週、彼女の絵が「金色の額」に飾られてありました。

     話しを聞いていて、僕の中学時代のことを思い出しました。作文が苦手でみんなと同じように書けないのがイヤでした。いっつも作文となると、誰かに見られないように、ノートを腕で覆い隠すようにして、その暗がりの中で文章を綴っていました。誰かにみんなと違うものを書いていると知られるのが怖かったのです。

     そのノートを、いきなりすくい上げた国語の先生。ノートに目を走らせるや、

     「みんな、桐生君のを読ませてもらいなさい。同じことを違った視点で捉えていて大変おもしろい!」

     そのとき、はじめて違っていいんだと思いました。

     「てん」のお話を聞いていて、自分の中に眠っていた「国語の先生」が目を覚ましました。

     

     

     最後は僕のおすすめ本です。

     僕が選んだのはマック・バーネットの処女作「ビリーツイッターとシロナガスクジラ問題」です。邦訳こそされていませんが、この面白さは著者も言っているように、子供に突拍子もない嘘をつく、その堂々とした嘘つきぶりです。
     「ビリー、部屋を片付けないとシロナガスクジラを買ってくるわよ。」「ビリー、勉強しないとシロナガスクジラを買ってくるわよ。」
     ママは、ことあるごとに、シロナガスクジラを買ってくるとビリーを脅して言うことを聞かせようとします。そんなわけないとたかを括っているビリー宛に、ある日、宅急便でシロナガスクジラが届けてこられるという奇想天外なストーリーがページを開くと溢れ出てきます。
     しかも、この嘘つきぶりは、絵本の中にとどまらず、本の表紙にまで溢れ出てきます。それが以下のような嘘広告です。
     「安心の30日間トライアル、シロナガスクジラを飼育できます。希望者は、切手を貼った自分宛の封筒を同封してください。」
     この嘘広告に対し、ニコという子供がシロナガスクジラ希望の封筒を送りました。すると彼の元にノルウェーの法律事務所から手紙が届きました。関税法の関係で、君のところへシロナガスクジラを送れません。君のクジラはフィヨルドで保護されています。さびしがっているので、彼に電話してやってください。
     案内された電話番号に連絡すると、クジラの鳴き声に続いて応答メッセージが流れます。
     ニコは自分のクジラであるランドルフに話しかけます。
     ニコは4年にわたり25回のメッセージをランドルフに送り続けました。
     ものがたりが絵本の中からこぼれて、現実世界に流れ出し、もうひとつのものがたりが作りだされました。

     

     いよいよ締めくくりは、「ちいさなあなたへ」の動画を観てお開きとなりました。

     さて次回「私のブックレビュー」は、「Page.2 児童読み物の世界」となります。子ども向けの小説、絵本、漫画を対象に、これというものを一冊お持ちいただき、その魅力を語っていただきます。

     日時は、2018年7月13日(金)、午前10:00〜12:00の予定です。

     インターネットでの参加も可能です。インターネットで参加される方は、下記のメールアドレス宛てに「私のブックレビュー インターネット参加」と書いてお申し込みください。

     折り返しURLを知らせします。ただしインターネット枠は最大3名ですので、定員になりましたら締め切らせていただきます。

     

    dep1948@zeus.eonet.ne.jp

    関連する記事
      コメント
      コメントする
      トラックバック
      この記事のトラックバックURL