我が町の地震の先生・菅野耕三さん

2011.09.29 Thursday

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     菅野さんに最初にお目にかかったのは、地区の広報の取材で広陵町図書館を訪問したときのことだ。広報「ふれあい」で、広陵町図書館として「防災関係」の図書を紹介してもらえないかというお願いにあがった。本の紹介だけでなく、各冊ごとに、ちょっとしたコメントももらえないか……という虫の良い話だったが、そこで応対してくれたのが、当時、広陵町の図書館長をされていた菅野耕三さんだった。そのときは菅野さんがどんな方か、まるで分かっていなかった。
     菅野さんは、不躾な申し出にもかかわらず快く引き受けてくださり、担当の司書の方に引き合わせていただいた。司書の方々も、お忙しい中、本の選定からコメントの執筆まで、熱心に取り組んでいただけた。
     あとで知ったことだが、菅野さんは、広陵町の図書館長というだけでなく、大阪教育大学の名誉教授で、地質学、層位・古生物学、地盤工学の権威であるということだった。

     その菅野さんが、今年の8月に広陵町図書館の公開講座で、小学生を対象に「地震の話」をされた。また9月には、大人向けに「広陵町の自然災害」という話をされた。
     僕自身は、9月は仕事の関係で出席できず、8月の小学生向け講座「地震の話」を聴講させていただいたが、そこで、菅野先生の人柄の一端に触れることになった。
     終始ニコニコと興味深そうに話をされる。話をされているときは、偉い学者先生という風ではなく、好奇心にあふれた少年のような雰囲気をあたりに振りまかれていた。

     その教え方も、紙工作を使って、建築における筋交いが如何に重要かを子供たちに体験させたり、人間の目が如何に不正確かを、やはり紙工作の教材を与えることで体感させるというユニークなもの。「この目で確かめて」という言葉があるが、津波が襲ってくるまでの距離感や時間の感覚、「自分の目で確かめて大丈夫」と思う怖さを痛感させられる。
     では、「人間の目が如何に不正確か」、その教材になった紙工作を、この記事の最下段にに掲げておく。これを切り抜き組み立てたとき、平面であるドラゴンの顔が飛び出したり動かないはずの顔が動き出すように見えるかも知れない。ぜひ試してみられたい。
     (なお、以下のURLをクリックしていただければ、実寸大の画像にリンクしていただける。時間と興味のある方は、厚手の紙にカラー印刷したうえで試してみられたらと思う。)
    http://www.uta-book.com/dragon.pdf

     そんな菅野さんが、阪神大震災の直後、震災後の調査団の一員として現地の調査に当たられたことがある。そのとき、ある被災者の方から次のような厳しい言葉が返ってきたという。
     「あんたらは調査、調査というが、こうなる前に、何か私たちに話してくれたことがあるのか。地震に関する知識を知っていれば助かった者もおるはずや。」
     もちろん、この通りに言われたのでなく、菅野さんの話を僕が脚色している部分もあるが、大筋このようなことを言われ、以来、菅野さんは、地震のこと、防災のこと、防災知識のこと等々、話す機会があれば、どこへでも出かけていって話されるようになったという。広陵町図書館の司書の方々に、あんなに熱心に協力いただけたのも、菅野先生の影響があったからだと思えてならない。

     「地震は地球で生活する限り、どこでも起こり、災害は必ず起こる」、また「日本は地震大国、地震に遭遇することを想定して生きていかなければならない。災害に遭うことを前提に備えることで、より被害を少なくできる」とも菅野さんは言われる。

     では、私たちの暮らす広陵町はどうなっているのか? 以下、友人が取材してくれた「広陵町の自然災害」に関する講話内容を、箇条書き的に紹介することとする。

    ・広陵町での災害の恐れ
      奈良県内には京都府南部から奈良市〜天理市〜桜井市付近にわたり奈良盆地東縁断層がほぼ南北に延びている。この断層が動けば町内でも震度6強の地震の恐れがある。
     南海、東南海地震では奈良県内では揺れの恐れはほとんど無いと考えられる。
     D内の地震被害の恐れとしては、液状化現象と地面の陥没、隆起が考えられる液状化現象は、10世紀後半に広陵町でも起こっており危険地域である。(箸尾遺跡で液状化が起こった状況が解る)
     4丁目付近では、馬見北3丁目の調整池を埋立てた跡地の住宅地が液状化の恐れがある。
     液状化が起こり、建物が0.3%傾くと人間は生活できない(三半規管がおかしくなり感覚が麻痺)。
    地面の陥没については、真美ヶ丘ニュータウンは山を削った造成地であるので切土地、盛土地が存在するが、切土地は安全と考えられるが、盛土地は危険が予想される。特に切土地と盛土地の境界が一番危険が予想される。
     また道路については基礎補強などを施せないので、陥没や隆起の危険は大きい。
     た絣嘉の恐れとしては、奈良県の下水道は時間雨量30ミリを予想して作られているので、最近の80〜100ミリの雨量には対応できない。
     (40年前では時間30ミリの雨量でも100年に1度の雨量と想定されていた)

    ・災害への備え
     |録未起きると木造家屋では1階が潰されるので、2階の方が安全。
     一番安全な場所はトイレ(但し、ドアは開けておかないと閉込められる危険がある)。
     倒れそうな物の近くでは寝ない、倒れそうな物は固定する。
     2箸粒阿暴个襪箸は、絶対裸足で逃げない(ケガの危険が大きい)。
     て始に水が溢れた時は逃げずに家の一番高い場所で救助を待つ(道路が水に浸かると状況が解らず危険である。また水面は静かでも水中は流れが速く危険な場合がある。)
     ス埓の避難指示等は非常に遅いので、予め自主避難することも大事。
     θ鯑饐貊蠅詫修甞稜Г靴討く。
     避難の際は、最小限の物だけを持つ。
     津波の発生筒所近くにいた場合は、大阪市であれば地震発生から津波到達までは2時間近く時間があるので、慌てずに避難する。

    ・災害への考え
     )漂劼貌淡薬はない(自然災害は止められない)。
     減災を考えていく(少しの備えで大きく変わる)。
     災害にあう事を前提に生きていかねばならない。
     ぜ分の居住している場所のことを、よく知っておく。
     ィ海弔龍儀
      油断大敵(油断こそが災害の最大の敵)
      用意周到(事前の備えこそが最大の防備)
      自主連携(自助と共に共助(互助)が不可欠)

     人間は天・地・水の動きがある地球に養われている。
     地球からみれば災害も自然論理の一つである。

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