本田せつ子著「お母さん、ごめんなさい」

2009.11.04 Wednesday

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    今日、12月初旬に発行される「お母さん、ごめんなさい」の最終校正が終わった。
    いつもながらの断りだが、本の宣伝をするつもりはない。ただ、自分が手がけたものについては、何か一言しゃべってみたくなる。「こんないい本を作ったんだぞー」って自慢したくなる。
    いつまでも幼児癖が抜けないってことかも知れない。そこのところは、ご勘弁、ご勘弁……。

    さて、著者の本田せつ子さんだが、昭和25年に函館市で生まれた。小さな頃から精神世界に興味があり、「幽体離脱」等、いろんな霊体験もされているようだ。長じて「心理学」を志すようになり、大学や大学院で、「発達心理学」や「児童心理学」を学び、卒業後は、保育専門学院で講師をしたり、公の家庭児童相談室の相談員や、保健所発達クリニックの心理相談を担当したりと、少し前までは、心理学の立場から子供の心の問題に取り組んできた。

    そんな彼女が、チャネラーになってしまった。
    チャネラーって何かって? ウーン、一言でいえば、言葉を介さず他人の思いが分かる人ってことかなあ。僕たちって、言葉や時には身振り、つまり耳や目やそれに口も、要するに五感を使って情報を伝達し合っているだろう。これって便利だけど、本当いうと不正確だよね。だって口で「人間は心ですよ、心が大事ですよ」って言ったって、本当のところは分からない。内心は「金だ、金だ」って思ってるかも知れないじゃないか。ところが、人は言葉を発するだけじゃなく、「思い」というのも「波動」として出してるらしいんだ。その「思い」が伝わってきたら、これは、もう間違いがないよね。あくまで受けてのチャネラーに雑音がないとしての話だけど……。
    さて本田さんの話に戻ろう。彼女がチャネラーになってしまうと、どんなことが起こったか。
    相談に来る人たちは、子供の問題を通して、それぞれ自分の苦しい立場や思いを語ってくる。ところが、それと同時に問題を抱えている本人や子供たちの思いも同時に伝わってくるようになったんだ。そんな思いに耳を傾けていると、みんながみんな形を何とかすることばかり考えて、本当に大事なことは考えようともしない。本田さんは、「マニュアルどおりでは伝えられない、本当に伝えなければならないことは、こんなことじゃない」って思うようになった。でも、それって公の立場では言えないらしいんだ。そのギャップに苦しんで、本田さんはカウンセラーの仕事をやめた。
    少し長くなるが、ご本人の言うところを聞いてみよう。

    「私は今、五十歳半ばです。自分の小さい時、また学生時代を振り返っても、今とは全く様相が違います。いつの頃からか社会が大きく動き、人々の価値観も 変貌を遂げています。二十年あまり子供の問題についての相談業務に携わってきましたが、子供の問題も複雑化し、多様化していることに気付きます。相談内容にも大きな変化が見られるようです。公的な相談機関に勤務してきましたが、そこでは言葉や発達の遅れ、自閉症、学習障害、注意欠陥・多動性障害、ダウン症、また登校拒否、落ち着きのない子供、適応障害、非行などの子供を持つ親とのカウンセリングを主にしてきました。障害や問題を持つ子供の療育というよりも、障害や問題のある子供の親との心の触れ合いや交流を図ってきました。悩みを聞いて受け止め、アドバイスをしてきました。
    しかし、カウンセリングを行いながら、私はその当時学び始めた、「人間とは何か、人生の目的とは何か、人間の本質とは何か」を探求する上で、自分が心の中に見いだしてきた解答と、学問を基盤としたカウンセリングとの間のギャップに、戸惑いを感じるようになっていきました。言葉の遅れや発達の遅れは、親にとっては大きな問題です。だから、その対応は一応伝えます。でも私の本音は、そんなことは大して重要なことではない、それよりも、もっと大切にしていかなくてはいけないことがたくさんある。夫婦は仲良くしていますか、嫁姑の間はいかがですか、あなたは自分を大切にしていますか、あなたが子供に望んでいること、それは本当に大事なことですか、外に見える事柄よりも、もっと子供の心を大切にしてほしい、そのように伝えたい相談が山のようにありました。子供の能力を引き出すことも大事かもしれない。でも、それよりももっと大事なこと、私は親たちが一人ひとり、もっと自分の心を見つめていくということを伝えたくなりました。相談室には親は直接的な解答を求めてやってきます。しかしながら、家庭の歴史の中で培われてきた諸問題は、そう簡単には解決できません。それには親自身の意識の変化がどうしても必要になってきます。生活をしていく基盤、もっとはっきり言えば、生きていく基盤を変えていく必要があります。それを伝えるときに、私は公的な機関では無理があるということに、段々気付かされました。
    形の世界、また表面的な心の世界を変えていくということは、相談室でも伝えることはできます。でも、それは一時の変化です。本当に大切なことは、生きる基盤を変えていくということ、そして、それは肉的な幸せ、肉的な解決を求める心とは相容れない世界なのだということを、思い知らされました。
    親が不満を訴える、自分の心を語る、でも親自身の意識が真っすぐに私に伝えてくる思いとはかけ離れていても、親の心情を考慮したり、自分を守る思いから、それを指摘することも、本当の幸せについて語ることも十分にはできませんでした。それが段々苦しくなってきて、私は職を辞しました。
    子供の様々な問題を考えるとき、今、何が一番大事なのか、そして、なぜこのように様々な問題が引きもきらず次々と起こってくるのか、肉と意識の世界両面から子供の問題を語っていきたいと思うようになりました。」 

    こうして、2007年2月、「母親のぬくもり−子供の問題−」が書かれた。続いて同じ年の11月、「幸せへの道が開かれて−精神障害から喜びの世界へ−」が、翌2008年3月には、家族間での心の葛藤を取り上げ、本当の幸せは何かと言うことを考える「家族の風景」が書かれた。今度できる「お母さん、ごめんなさい」は、これまで取り上げた問題の上に立ちつつも、より具体的に「心を見る」ということの大事さを伝える、いわば、本田さんの総決算とでもいうべき1冊だ。

    あっ、これってやっぱり「本」の宣伝かなあ……? ま、いいかっ。

    ジャガイモの状況
    我が仕事場のジャガイモ君、11月1日の状況。地中の根から吸収された水分が、露となって葉の表面から排出されています。自浄作用が働いているのだそうです……感動してます。
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