「侍ウーマンズ」という原稿を読んで

2010.10.25 Monday

0

    2010年9月20日に、「石川四高記念文化交流館にて」と題したブログを書いて以来、35日間、何を書くでもなく、ただ忙しいだけの時間が過ぎていった。

    新刊発行後の書店とのやりとりに躍起になっている、そんな矢先のことだ。
    なつかしい方からお電話を頂いた。御挨拶もせず勤め先を辞めたというのに、そんな不義理な僕に、「助けてやってくれないか」と、おもしろい人物とおもしろい原稿を紹介された。
    電話からは「侍ウーマンズ」という題名しか教えてもらえなかったが、忙しいにもかかわらず、何か妙に引っかかってくるものがあり、気がついたときには「いちど原稿を読んでみたい」等といっぱしの編集者のようなことを口走っていた。
    日をおかず、その原稿がPDF化されメールに添付されて僕の手元に届いた。母親の介護と新刊発行後の忙しさに、しばらくは目も通せずにいたが、読み出すと止まらない。
    上海を訪れた著者が、王君という孤児と出会うことで、中国の孤児の現状と向かい合うことになってしまう。なまじっかお金を寄付するより、何とか、この状況を多くの人に伝えたいと、嫌がる友人を巻き添えにして思いついたのが、映画の製作。出資者集めの挫折から資金援助者の登場にいたるまで、まるでドラマを見ているような展開に、たちまち著者の語り口にはまり込んでいく。
    そんな彼女らが映画化の素材として選んだのは、近所の図書館で読んだ「愛のかけ橋はきえず」という藤崎康夫氏の児童書。満州で孤児となった主人公望月カズが、やがて自分の境遇に照らし、朝鮮戦争で親を失った子供達を引きとり133人も育てあげたという実話。

    しかし資金は集まったとはいえ、少ない資本で、二人の日本人女性が「金食い虫」のような映画制作に挑むという無茶というか無謀な話。とうとう中国にまで乗り込んで、すったもんだの奮闘の挙句、とうとう中国国営映画社との合作に持ち込むという、嘘のような本当の話。
    僕の友人にも、中国人の奥さんを持ち、自身も大学卒業後、中国で長く放浪生活をした人物がいるが、彼にこの話をすると「嘘だろう! 何か裏があるんでは?」と、まず疑いの目を向けてきた。

    まさに「事実は小説より奇なり」を絵に書いたようなお話。面白くないわけがない。映画人を夢みた僕としては、さらに縁浅からぬ中国の話とあっては、中から湧き上がる「何としてもやってみたい」という思いを無視できなくなった。

    そこで著者に「やってみたい」旨の携帯メールを入れる。著者は忙しい方らしく、「今後のやりとりは携帯メールで」という。しかし、僕は大の携帯嫌い。仕事柄、携帯は手放せないが、自分が携帯メールでやりとりする、そんな日が来ようなどとは思っても見なかった。
    「成せば成る、成さねばならぬ何ごとも、成さぬは人の成さぬなりけり」とはよく言ったもので、やりたい思いで、いつしか「一度、打ち合わせしたい」旨の携帯メールを送信していた。

    かくして目出度く、関東での顔合わせということになるのだが、この続きは、また次回。打ち合わせ終了後ということで、まずはお開き。

    1